審査員長　齋藤俊文（九州大学）

急速に社会の変化が進む中で、新時代のビジョン、地域の力、越境する未来などをテーマとした魅力的な作品が集まりました。グローバルな視点を巧みに表現に昇華している作品がある一方で、作者の育った地域や環境が色濃く反映された作品も目立ちました。若い世代の柔軟な発想と思考からは学ぶところが多く、固定観念に囚われず、自由に考えながらつくっているプロセスが垣間見えてくるような作品が多く見られました。

オンライン、データでの審査については、素材や質感を伝えるのが難しいのではと懸念していましたが、データの整え方には各々工夫が見られ、作品への熱意が伝わってきます。「コミュニケーションを喚起するアートとは」という問題意識の元、本トリエンナーレらしい審査になったと感じています。こちらの投げかけたテーマに対して、正解を導き出そうとするのではなく、さらに問い直してくるような作品を選びました。

受賞、入選作品は、世界的に活躍する九州ゆかりのアーティストの作品と共に、歴史ある小中学校跡地の会場に、これから3年間常設展示されます。会場でこれらの作品に出会った人びとが、楽しみながら自分ごととして問い直してくれること、そこに豊かな対話が生まれることを願っています。

審査員　松隈浩之（九州大学）

応募された作品について、平面、立体ともに扱っている素材から手法まで多岐にわたっていました。テーマである「ムスブ」を積極的に取り入れたものから自己表現に注力したものまで幅広く、難しい審査となりました。出展元も国内の美術系学校からアジア諸国にいたるまで多くの地域から参加いただいており、今後のさらなる発展に期待したいと思います。

審査員　栗山斉（九州大学）

今回の審査結果はあくまでも一つの評価に過ぎません。他人の評価に一喜一憂せず、感性を磨き、自身の表現を追求し続けてほしいと思います。みなさんの今後の発展を楽しみにしています。